概要:精緻化見込みモデル(Elaboration Likelihood Model)
特に商業的なメッセージに対する見込み客の意思決定プロセスを説明する包括的な理論モデル.
関連情報
Wikipediaに詳細な記述があるため, ここでは一部修正と補足を行う.
出典について
社会心理学者リチャード・E・ペティ(Richard E. Petty)とジョン・T・カシオポ(John T. Cacioppo)が精緻化見込みモデルを提唱したのは, 1981年に発表された『Attitudes and Persuasion: classic and Contemporary Approaches』においてであった1.
用語について
説得研究の文脈における精緻化(elaboration)とは, 悩み事に関する情報を含んだメッセージについて人がどの程度真剣に考えるか, つまり熟考の程度, あるいは判断の態度を意味する. 例えば, 悩み事についての分野に対して熱心な態度を示しており, 豊富な知識や高い判断能力を持っている場合, その人の精緻化見込み(elaboration likelihood)は高いと言える2.
中心的概念について
精緻化には幅があり(from none to complete)連続しているが, 明確に区別できる2種類の意思決定プロセスが存在する2.
1. 中心経路(central route)
悩み事に関する分野について十分に調査しており, モチベーションや判断能力が高い. 説得的メッセージの観点から言えば, それは信頼できる根拠とともに提示された真のメリット(true merits)によって遂行される2.
2. 周辺経路(peripheral route)
モチベーションや判断能力が比較的低く, 表面的な説得情報(cue)によって態度を決定する. 真のメリットなど必要以上に詳細なメッセージよりも, シンプルで魅力的な説得情報(cue)によって態度変容を引き起こす2.
資料
1. Petty, R.E., & Cacioppo, J.T. (1981). Attitudes and persuasion: Classic and contemporary approaches. Dubuque, IA: Wm. C. Brown.
2. Petty, R. E., Cacioppo, J. T., Petty, R. E., & Cacioppo, J. T. (1986). The elaboration likelihood model of persuasion (pp. 1-24). Springer New York.